9月22日に開かれた金融政策決定会合で、金融緩和策の現状維持を全会一致で決めました。当面は、物価や賃金の動向を慎重に見極めながら、7月会合で長期金利の事実上の上限を1%とする長短金利操作(イールドカーブ・コントロール:YCC)や、マイナス金利政策、上場投資信)の買い入れなど、現行の緩和策を続けていく方針です!
具体的な内容について解説していきます!
9月会合の決定事項
- 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)
➀次回金融政策決定会合までの金融市場調整方針
・短期金利:▲0.1%のマイナス金利を適用する
・長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買い入れを行う
②長短金利操作の適用
長期金利の変動幅は「±0.5%程度」を目途とし、10年物国債金利について1.0%の利回りでの指値オペを、毎営業日、実施する
- 資産買い入れ方針
①ETFおよびJ-REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円の相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて買い入れを行う
②CP(短期社債)等は、約2兆円の残高を維持する。社債等は、感染拡大前と同程度のペースで買い入れを行い、買い入れ残高を感染拡大前の水準(約3兆円)へと徐々に戻していく
景気動向
・我が国の景気は、緩やかに回復している
・海外経済は、回復ペースが鈍化している
・海外経済の鈍化の影響を受けつつも、輸出や鉱工業生産は、供給制約の影響の緩和に支えられて、横ばい圏内の動きとなっている
・企業収益が全体として高水準で推移するもとで、設備投資は緩やかに増加している
・雇用・所得環境は緩やかに改善している
・個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、緩やかなペースで着実に増加している
・住宅投資は、弱めの動きとなっている
・公共投資は、緩やかに増加している
・物価面では、消費者物価指数の前年比は、既往の輸入物価の上昇を起点とする物価転嫁の影響から、足もとは3%程度となっており、予想物価上昇率は、再び上昇の動きがみられている
今後の展望
・当面は、海外経済の回復ペースによる下押し圧力を受ける
・ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかな回復を続けるとみられる(ペントアップ需要:なんらかの理由で消費者が購買行動を控えていた需要が、景気回復などによって一気に回復すること)
・その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる
・消費者物価指数の前年比は、短期的にはプラス幅を縮小
・中長期的には、マクロ的な需給ギャップが改善し、企業の賃金・価格設定行動などの変化を伴う形で予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていくもとで、再びプラス幅を緩やかに拡大していくものとみている
リスク要因
・海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性は極めて高い
・金融・為替市場の動向や、わが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある
今後の方針
・内外の経済や金融市場を巡る不確実性が極めて高い中、経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応
・粘り強く金融緩和を継続していくことで、賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく
・「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に維持するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する
・マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する
・引き続き企業等の資金繰りと金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる
まとめ
大方の予想通り、9月決定会合では金融緩和の維持が決定されました!
日経平均株価は、前場では下落幅が400円超えとなっていましたが、声明文が発表され、大規模金融緩和の継続が決定したことで、後場では下げ幅を縮小し、▲160円程度で取引が終了しました!
為替については、金融緩和の継続により円安方向へ動き148円30銭程度で取引されています!
株式市場の反応はまちまちで、銀行セクターは引き続き強い動きを見せています!
不透明感が払拭されたことで日経平均株価のさらなる上昇に期待がかかりますが、米国市場は減速してきているため、引き続き株価の下落リスクに注意していかなければなりませんね。
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