2023年12月14日、高島（8007）が、固定資産売却益の計上見込みを踏まえ、通期連結業績予想と配当予想を修正しました。直近決算の内容、通期業績見通し、株価指標、株主還元について解説していきます。
基本情報
高島は、繊維、建材から太陽光発電機器の販売など多角的に展開している会社です。東南アジアで日経向けに電子部品工場も展開しています。
中間決算
中間決算では、売上高は増収、営業利益・経常利益は前年同期比40％の増益となりましたが、最終利益・修正1株利益は減益になっています。営業利益率は前年同期1.9％→2.6％に改善しました。
2四半期累計では、売上高は増収、利益は2桁の大幅増益となっており、進捗率は48.8％とまずまずな水準です。
＜決算説明資料のポイント＞
・電子・デバイスセグメントが減収となったものの、建材、産業資材セグメントが好調に推移し、前年同期比増収増益
・建材セグメント（非住宅建築物、住宅建築物向けの壁材や断熱材、太陽光パネル関連資材など）では、売上高は前年同期比17％増収、利益は10.6倍増益。利益率は前年同期0.2％→2.1％と10倍に改善。物流施設や工場・工事案件等をターゲットに受注が伸長。産業用、住宅用ともにゼロカーボン社会に向けての需要が高まり、自家消費を目的とした機器導入拡大を背景に売上伸長。
・産業資材セグメント（繊維資材、樹脂部材、機能資材など）では、売上高は前年同期比3.8%増収、利益は3.5倍増益。利益率は前年同期0.8％→2.8％と改善。自動車分野を中心に回復し、成型加工品の受注が拡大。アパレル関連が円安による小売販売価格上昇の影響を受け需要が低迷し減収。
・電子・デバイスセグメント（電子部品販売、基板実装（EMS）を行う製造受託など）では、売上高は前年同期比12％減収、利益は56％減益。利益率は前年同期5.0％→2.5％と悪化。コロナ後の消費動向の変化に伴い、電子機器関連市場が世界的に減速したことに加えて、市場全体に部品在庫が積み上がった影響を大きく受け、減収減益。
通期業績見通し
2024年3月期の通期業績は、売上高・利益ともに2桁の増収増益となり、固定資産売却益の計上により最終利益・修正1株利益は前期比で3倍に増益しました。配当金も大幅に増配されました（うち15円は特別配当）
＜決算説明資料のポイント＞
・2023年6月の岩水開発株式会社の買収、及び2024年３月期第２四半期の業績等を勘案し、業績予想を上方修正
・売上高は、従来予想890億円→940億円に5.6％上方修正。利益は、従来予想18億円→23億円に27.8％上方修正。特に建材セグメントで増収・増益幅を大きく引き上げたようです。
株価指標（12/14現在）
株価は2023年9月末日を基準日に1株→4株に株式分割され、1単元が10万円程度に引き下げられ、手が出しやすくなりました。
大幅な株主還元を発表し株価が11％も上昇しましたが、それでもPERは3.8倍、PBR0.88倍と非常に割安です。
配当金が増配されたことで配当利回りは5.83％に上昇しました。
株主還元
過去10年間の配当金の推移です。
2021年3月期はコロナショックの影響で減配しており、その後は3期連続増配になっています。
還元方針は「連結配当性向40％以上の配当を毎期行い、総還元性向50％を目標に機動的な自己株式の取得・消却を実施する。株主の皆様への安定的な還元を念頭に、総還元額の下限を5億円とする」としています。
上記方針に伴い、期初の配当予想は中間配当20円、期末配当25円の年間45円（株式分割後で計算）でした。
しかし、今回固定資産売却益を特別利益に計上する見込みとなったことから、株主への利益還元策として、期末配当予想を一株当たり普通配当25円に加えて、特別配当15円を増配し、40円に修正されました。
年間の連結配当性向は概ね22％、総還元性向は概ね41％となり、上記方針を下回ることになりますが、残りの資金は持続的な成長に向けた事業投資に充当するとしています。
また、自己株式の取得については、8億円を上限に、発行済株式総数に対して12.91％と大規模な自社株買いを行うようです。
ポイント
建材セグメントと産業資材セグメントで前年から大きく売り上げと利益を伸ばし、電子・デバイスセグメントが足を引っ張っていますが、前年から業績は大きく伸長しており、見通しも明るく業績は好調のようです。
それに加えて、今回の固定資産売却益の計上により、株主還元だけでなく、今後の事業成長にも使っていくとさているため、来期以降も業績・株主還元ともに期待できる銘柄ではないでしょうか。
以上です！投資の参考になればうれしいです！
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