巴工業(6309)本決算解説 配当方針変更で大増配

株主優待

2023年12月14日に発表された、巴工業(6309)の本決算について、決算内容、来期業績見通し、株価指標、株主還元、株主優待について解説していきます。

基本情報

巴工業は、中堅化学機械メーカー。デカンター型遠心分離機で国内トップの会社です。輸入化学品商材の扱いが大きいです。

2023年10月期 本決算

第4四半期決算では、売上高・利益ともに増収増益であり、営業利益率は前年同期8.3%→8.4%とわずかに改善しました。

2023年10月期の通期業績は、売上高は増収、営業利益・経常利益は2桁の増益であり過去最高を更新しました。最終利益・修正1株利益も増益となっています。

<決算説明資料のポイント>

・売上高は機械製造販売事業、化学工業製品販売事業の販売が共に伸長したことで増収増益

・機械製造販売事業では、国内向け装置・工事の販売が伸び悩んだものの、海外向けの販売が全般的に伸長した他、国内向け機械および部品・修理の販売が堅調だったため増収となったが、利益面は、販管費が人件費増を主因に増加したため営業利益は減益となった

・化学工業製品販売事業では、機能材料関連の電気自動車用パワー半導体向け材料等が大きく伸び事業全体を牽引した他、鉱産関連の建材・自動車用途向けを主とした材料、化成品関連の塗料・インキ用途向けを主とした材料等の販売が伸長したことから増収。利益面は、販売が好調に推移したことから売上総利益が伸び人件費増を主因とする販管費の増加を吸収し営業利益は増益となった

来期業績見通し

2024年10月期の通期業績は、売上高・利益ともに増収増益であり、営業利益・経常利益は過去最高を更新する見通しです。

<決算説明資料のポイント>

・本中期経営計画初年度の2023年10月期の連結経常利益が過去最高の業績を更新し、併せて最終年度の連結経常利益目標(40億円)を達成した。こうした情勢を踏まえ、事業戦略をより積極的にブラッシュアップすることにより、本中期経営計画の最終年度(2025年10月期)目標を連結売上高540億円、同経常利益44億円、ROE8.0%に上方修正し、PBR1倍の達成を目指していく

・機械製造販売事業では米国、中国に次いでインド、東南アジアでの拠点展開を加速することにより、主要な市場をカバーする販売ネットワークを構築し営業力強化を図り、併せて、各拠点がカバーする国・地域からの原材料調達ルートを拡大し調達コストの最適化を進める。営業利益については、増収効果で前年度比20.6%増の1,000百万円となる見通し。

・化学工業製品販売事業ではタイを軸とする東南アジアのビジネス拡大、チェコを拠点とする欧州各国への展開や新たなサプライヤー発掘に注力するほか、電気自動車等で世界的需要拡大が見込まれるパワーデバイス向け商材は、業界全体で品不足が予想されるため市場ニーズに合致する商材を開拓・調達し顧客への安定供給を目指す。営業利益については、人件費増や将来の成長に資する営業開発関係等による販管費の増加を見込むことから前年度比1.2%減の3,180百万円となる見通し

株価指標(12/14現在)

株価は1単元が20万円台でしたが、配当方針の変更に伴う増配の発表でPTS(夜間取引)では3,125円(+11%)に上昇していました。

12/14現在のPERは10倍以下、PBRも1倍を割れており株価は割安水準です。

ROE・ROA・営業利益率も悪くはなく、自己資本比率は75%と非常に高く財務健全です。

配当利回りは現在の株価からすると4.28%と高配当であり、配当方針変更前の2.8%から急上昇しました。

株主還元

過去10年間の配当金の推移です。

直近10年間は累進配当になっていました。今期(2023年10月期)から配当方針が変更となり前期より2倍に増配されています。

還元方針は、変更前が「連結業績および中期的なグループ事業戦略等を総合的に勘案し、適正かつ安定的な配当を実施する」としていましたが、変更後は「健全な財務体質の維持を図りつつ、中長期的な業績見通しや事業戦略等を総合的に勘案した上で、配当性向 40%以上を目標として安定的な配当を実施」という方針に変更されました。

上記方針に基づき、今期(2023年10月期)の中間配当は40円、期末配当は期初予想40円→70円に30円増配され、年間配当金は110円に大幅増配されました。

また、来期(2024年10月期)については中間配当60円、期末配当60円の年間120円が予想されています。

株主優待

配当方針だけではなく株主優待制度も変更されています。

現行は、10月末日に1単元(100株)以上保有している株主全員に、当社関連会社取扱のワインが1本いただけました。

変更後は、1年以上継続保有が必要になり、さらに保有株式数による振り分けが2通りとなりました。100株以上300株未満の株主はワイン1本、300株以上の株主はワイン2本いただけるようになります。

※変更後の株主優待は、2024 年 10 月末日の基準日より実施されます。なお、株式の継続保有期間の基準を新設したことによる、株主への不利益を軽減するために、2024 年 10 月末日の基準日に限り、100 株以上を継続して6か月以上保有する株主を対象として実施されるようです。中間期である4月に100株以上保有している必要があるため注意しましょう。

ポイント

通期業績は好調であり、来期の見通しも好調を維持する見通し。

株価は割安に放置されていましたが、配当方針変更に伴う増配や株主優待の変更等で、今後は人気化するかもしれません。

PBR1倍割れに向けてさらなる株主還元に期待していきましょう。

以上です!投資の参考になればうれしいです!

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