三菱ガス化学(4182)中間決算解説 減益ながら株主還元積極的

日本株(高配当)

2023年11月8日に発表された三菱ガス化学(4182)の中間決算について、決算内容、通期業績見通し、株価指標、株主還元について解説していきます。

基本情報

三菱ガス化学は、基礎化学品や機能化学品を生産している会社です。海外でメタノールを合併生産しています。半導体やスマホ向け材料に強みがあります。

中間決算

中間決算では、売上高は増収となり四半期として過去最高を更新。営業利益も増益となりましたが、経常利益・最終利益・修正一株利益は大幅減益となりました。営業利益率は前年同期7.3%→7.5%とやや改善しました。

2四半期累計では、売上高は増収でしたが、利益は減益となり、特に営業利益・経常利益は大幅減益となりました。進捗率は50.9%とまずまず好調です。

<決算説明資料のポイント>

・売上高は、三菱エンジニアリングプラスチックス社(MEP)連結化や円安などにより増収

・営業利益は、自動車・・半導体製造装置・食品製造装置部品等に使用されるプラスチックであるポリアセタール(POM)市況の下落、芳香族化学品・有機化学品・電子材料等、全般的な販売数量減などにより減益

・経常利益は、メタノール市況の下落による海外メタノール生産会社の持分法利益減少、及び繰延税金負債の取り崩しによる一過性利益の剥落等により減益

通期業績見通し

2024年3月期の通期業績は、売上高は増収となり過去最高を更新する見通し。しかし、利益は減益となり、特に経常利益に至っては前期比で約30%減益となる見通しです。

<決算説明資料のポイント>

・前回予想を据え置き。

・営業利益増減要因としては、円安、販売費・一般管理費の減少などが増益要因となっているが、ポリアセタール市況やエレケミ(エレクトロケミストリー:電気化学)の需要回復のタイミングなどが前回予想時よりも遅れると想定され、これら減益要因も織り込んだ結果、売上高及び各段階利益は前回予想を据え置いた

・基礎化学品事業の下期予想では、営業利益は、販売数量の全般的回復が増益要因となる見込みだが、下期は定修費用などの固定費の増加もあり、上期とほぼ同水準の損益を見込んでいる。経常利益は、メタノール市況の上昇に伴い、海外メタノール生産会社の持分法利益の増加を見込み、増益を予想

・機能化学品事業の下期予想では、営業利益は、電子材料や光学材料などの販売数量回復が増益要因となりますが、エレケミでは成⻑投資に伴う固定費増や、ポリカーボネートでは海外拠点における定修費の計上などが想定され、増益幅は小幅に留まる見込み

・無機化学品は、半導体向け薬液の需要回復に、今しばらく時間を要すると想定。電子材料は、スマートフォンやノートPC向け材料で継続的な需要回復を見込むことや、汎用向けなどの需要も徐々に回復することを想定

株価指標(12/19現在)

株価は一単元が20万円台であり、PERは10倍以下、PBRも1倍以下と非常に割安感があります。

ROE・ROA・営業利益率は悪くはない水準。

配当利回りは3.64%と高配当です。

株主還元

過去10年間の配当金の推移です。

直近10年間はコロナショックの影響で業績が落ち込んだ際にも減配せず累進配当となっています。

還元方針は「企業価値の向上を目指し、利益を内部留保と株主還元にバランスよく配分する。配当については安定的な配当の継続を基本に業績動向等を考慮して決定し、また、内部留保の水準と株主還元の水準を考慮して自己株式の取得を機動的に実施し、資本効率の向上と株主還元の充実を図ることを基本方針とする。自己株式の取得を含めた親会社株主に帰属する当期純利益に対する総還元性向40%を中期的な株主還元の目安とする」としています。

上記方針に基づき、今期(2024年3月期)の中間配当が40円、期末配当が40円で年間80円の予想になっています。予想通りであれば配当性向31.5%になります。

また、2023年11月9日から2024年1月31日までに、100億円を上限に、発行済株式総数に対して2.44%の自己株式を取得し、1月31日には発行済株式総数に対して2.25%の自己株式を消却すると発表しました。

まとめ

半導体関連は回復が遅く減益となる見込みですが、スマートフォンやパソコン向けは回復しつつあり下期には増益に転じる見込み。世界的には2024年からは半導体市況も回復する見通しであるため、事業環境は好転してくるかもしれません。

コロナショックの影響が強かった2020年3月期からは毎期増収増益で成長してきているため、今後も成長期待が高い企業です。

配当金は事業環境が悪くても前年から維持または増配しており、自社株買いに自己株式の消却まで行っている株主還元に積極的であり、株価指標的にもまだまだ割安な銘柄です。

今後、市況悪化により株価が下落するようなことがあれば積極的に押し目を狙いたい銘柄です。

以上です!投資の参考になればうれしいです!

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