デンソー(6902)トヨタなどによる株式売り出しによる影響は?

決算解説

2023年11月28日にトヨタ自動車(7203)などが、デンソー(6902)の株式を売却していく意向であるとニュースで報じられました。トヨタ自動車幹部によると、デンソーだけではなく、トヨタグループ各社と資本関係見直しの話をしている。デンソーは、この報道については当社が発表したわけではないとしています。

しかし、その報道によりデンソーの株価は一時約9%程度急落しました。

翌日の11月29日には、株式の売り出し及び主要株主の異動に関するお知らせを発表し、同時に自社株買いの発表も行いました。

そんなデンソーの直近決算、通期業績見通し、株価指標、株主還元について解説していきます。

基本情報

デンソーは、トヨタ系の自動車部品国内首位、世界2位の会社です。カーエアコンで高シェアをとっており、技術力に強みがあります。

2023年3月期の売上収益(得意先別):トヨタ自動車(約50%)、トヨタグループ外(約38%)、市販・非社債事業(約11%)

売上収益(製品別):モビリティエレクトロニクス(センサ、半導体など 約25%)サーマルシステム(エンジン冷却と車室内の空調管理などのシステム 約25%)、パワトレインシステム(約23%)

中間決算

中間決算では、売上高・利益ともに2桁の増収増益となり、特に最終利益・修正1株利益は約1.5倍に成長しています。四半期売上高は過去最高を更新しました。営業利益率は前年同期5.7%→6.5%に改善しました。

2四半期累計でも、売上高・利益ともに2桁の増収増益となり、最終利益・修正1株利益は約1.5倍に成長しました。通期業績は上方修正され、それに対する進捗率は36.2%となっています。

<決算説明資料のポイント>

・売上収益は、中国における外資系車両の販売不振が続くも、日米を中心とした好調な車両販売、円安の進行、注力領域製品などの拡販により前年比で増収

・営業利益は、電子部品を中心とした部材費高騰の継続や、将来に向けた投入を加速するものの、操業度差益や為替差益、合理化努力により前年比で増益

通期業績見通し

2024年3月期の通期業績は、売上高・利益ともに増収増益で、売上高・すべての利益水準で過去最高を更新する見通しです。

<決算説明資料のポイント>

・第2四半期連結累計期間までの好調な実績に加え、為替前提の円安方向へ見直す(従来予想1ドル=130円→140円に変更)とともに、第3四半期連結会計期間での車両増産見込分の一部を反映し、売上収益を従来予想6兆7,000億円→7兆円に、営業利益を従来予想6,000億円→6,300億円に上方修正

株価指標(11/29現在)

株価は9月30日を基準日に1株→4株に株式分割され、1単元が20万円前半まで低下し手が出しやすくなりました。

PERは14倍台とやや割安感があり、配当利回りは2%台と高配当ではありませんが、自己資本比率は50%を超えており財務は健全です。

株主還元

過去10年間の配当金の推移です。

直近10年間では累進配当となっており、コロナショックにより自動車業界がダメージを受け、業績が落ち込んだ時にも配当金を維持してくれています。

今期の配当金は、中間配当が株式分割前で100円、期末配当は株式分割後で27円の予想となっています。

還元方針は「DOEを株主還元指標として採用し、連結業績・資本効率・配当金額を総合的に勘案しながら、DOE 3.0%からの継続的上昇を方針として、長期安定的な配当を実施していく」としています。

こちらは過去10年間の自己株式取得の推移です。

取得総額に差はありますが、毎年自社株買いを実施しています。とりわけ直近3年間は1,000億円前後と非常に大きな額で取得しています。

11月29日には株式の売出しについて公表され、その理由が「政策保有株式の縮減を更に推進し、創出したキャッシュを成長戦略上必要な投資に繋げることにより、当社株主においても同様の企業価値創造の機会になり得るとともに、当社においては企業経営に対する規律を高める観点からも企業価値創造に資する」としていました。

上記の株式の売出しよる、株式需給への影響も念頭に、資本コストを意識した株主還元及び効率性と安全性のバランスがとれた資本構成の実現を図ることを目的として自己株式取得を決定したとのことでした。

今期の自社株買いについては、2,000億円を上限に発行済株式総数に対して4.17%の自己株式を取得するとのことでした。

ポイント

株式分割により単元で投資しやすくなり、通期業績は過去最高を更新する見通しながら、株価指標的には割安感があります。

株式の売り出しにより需給悪化懸念はありますが、コロナショック等で業績が大きく落ち込んだ際にも配当金は減配せず、少額ながらも自社株買いも行っており、株主還元に非常に積極的な優良企業です。

今後も増配していく可能性が高いため、中長期で持ち続けたい銘柄になります。

以上です!投資の参考になればうれしいです!

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